この国に仏教を、仏教公認に命を賭した僧侶を奉る寺
アンニョンハセヨ、ナビです。慶州は四方を山に囲まれた盆地になります。南には仏像など文化財がたくさん見られることで有名な南山(ナムサン)。東には仏国寺(プルグッサ)、石窟庵(ソックラム)のある吐含山(トハムサン)。西には仙桃山(ソンドサン)があり、北には小金剛山(ソクムガンサン)があります。今日の舞台は北の小金剛山。この山の中腹に位置する栢栗寺(ペンリュルサ)を紹介します。
栢栗寺とは
栢栗寺は527年、新羅第23代法興(ポプン)王の時代に創建されました。仏教を国教と定めるために殉教した、異次頓(イチャドン)という僧侶を奉った寺です。かつては栄華を極めた大寺院でしたが、豊臣秀吉による分禄・慶長の役で大半が焼失してしまいました。現在残る大雄殿などはすべて後世に再建されたものです。
栢栗寺創建にまつわる伝説
当時法興王は仏教を国教と定めようとしていましたが、在来の土着信仰を持つ朝臣たちの反対にあい、実現できませんでした。このとき、その朝臣たちの意見にさからって仏教の公認を声高に主張したのが異次頓です。仏教公認のために自ら殉教を申し出た彼は、仏の加護があれば自らの死後、必ずや奇跡が起こると言い残し、自害して果てました。異次頓の予言通り、切られた首からは真っ白な血が飛び出し、空からは花の雨が降り出したと伝えられます。奇跡を目の当たりにした朝臣たちは考えを改め、仏教を公認することにしました。
国立慶州博物館に展示されている2つの宝
栢栗寺から発掘された金銅薬師如来立像と異次頓殉教碑が国立慶州博物館に展示されています。金銅薬師如来立像はもともと栢栗寺の本尊として奉られていたもので、統一新羅時代に作られた金銅仏像としては最大のものになります。仏国寺にある金銅毘盧遮那仏座像、金銅阿弥陀如来座像とともに統一新羅3大金銅仏として知られており、国宝第28号にも指定されています。異次頓殉教碑は6角柱の形をした碑で、5面には銘文が書かれ、残りの1面には異次頓殉教の姿を描いた絵が掘られています。どちらも国立慶州博物館の仏教美術室2階で見ることができます。
小金剛山に登ってみよう
大雄殿の裏に回ると右手にあがる石段があり、三聖閣という建物があります。この三聖閣の右手へ回ると、そこが小金剛山に登る道になります。小金剛山の頂上付近からは慶州市内を一望する絶景が楽しめます。
東川洞磨崖三尊仏坐像
小金剛山の頂上付近には大きな岩に描かれた磨崖三尊仏があります。統一新羅時代に作成された磨崖仏としては貴重なものだそうですが、磨崖仏だけあって見つけにくい場所にあります。
山火事監視用のやぐらを過ぎると貯水溝と思われる穴が開いています。この穴から8歩進んだ地点で右手を見ると、道といえないくらいの小道があります。そこを降りていくと磨崖三尊仏坐像が出会えます。迷ったり、滑落したりしないよう、重々気をつけてください。
栢栗寺まで登ってくる入口付近には掘仏寺址(クルブルサジ)の四面石仏があります。そこから石段を登り栢栗寺へ。栢栗寺をさらに越えて、小金剛山まで登り磨崖三尊仏坐像を見るとなると、それなりの山登り気分が味わえます。小金剛山頂上には何もありませんが、少し手前から眺める慶州市街地の姿、南山の姿は一見の価値ありです。時間のある方はぜひ登ってみてください。以上、ナビでした。