石窟庵(慶州)

ソックラム석굴암

閉店・移転、情報の修正などの報告

現代科学をも凌駕する新羅人による驚異の建築技術

アンニョンハセヨ、ナビです。みなさん、慶州には全部で3つの世界遺産が存在するってご存知ですか。仏国寺(プルグッサ)、石窟庵(ソックラム)、慶州歴史遺跡地区。慶州歴史遺跡地区は月城エリア、南山エリアなど慶州地域全体を指定したものなので、慶州へ来て、仏国寺、石窟庵を訪ねれば、慶州エリアの世界遺産は全制覇なのです。おまけに仏国寺と石窟庵はシャトルバスで結ばれているほど距離が近い。世界遺産でかつ国宝。統一新羅が生んだ世界の名宝、石窟庵を訪ねてみましょう。
石窟庵へ行こう
石窟庵へ行くには2つのルートがあります。どちらも仏国寺を経由しなければなりませんが、ひとつは仏国寺の駐車場からシャトルバスに乗って行く方法。山道なので迂回しながら約7.5kmを20分かけて向かいます。バスの出発時間は毎時40分。注意しなければならないのは、40分間隔ではなく毎時40分ということ。10時40分、11時40分、12時40分というように出発していきます。なお石窟庵からは毎時00分出発。到着して次のバスまでは約1時間の余裕があります。この00分出発のバスを逃すと、1時間待つか歩いて下山するしかありません。ご注意ください。ちなみにナビのおすすめはバスの右側座席。右が谷なので絶景が楽しめます。当たり前ですが帰りは左。絶景が2度楽しめます。
シャトルバス時刻表
仏国寺発
始発08:40
終発16:20

石窟庵発
始発09:00
終発17:20

※料金は片道1500ウォン
さて、もうひとつは歩いて山をのぼる方法。その昔、まだ自動車などなかった時代は石窟庵までみな徒歩で行きました。シャトルバスを利用せず、かつての巡礼者が通った道をなぞって歩くのも面白いでしょう。
仏国寺の入口を左に見て少し行くと、のぼり坂の手前に「石窟庵人道入口3.2km」という碑が建てられています。また人道に入る手前から伸びる石畳の道からも石窟庵へ行けます。いずれは人道と合流するのですが、こちらは1981年に仏国青年会が「モミジの道」と名付け、1kmにわたってモミジの木350本を植えた美しい道です。紅葉の季節には両側から真っ赤なモミジが覆い被さってくるという、なんとも絵になる道へと変貌を遂げます。石窟庵までの道はナビの足で約1時間。下りは40分でした。それなりの山道なので靴はきちんとしたものを履くことをおすすめします。
石窟庵からの絶景を眺めよう
石窟庵行きのシャトルバスが駐車場に到着します。バスを降りると遠くに建物が見えました。駐車場からまず目に入るこの建物は大鐘閣。この大鐘閣を抜けていくとチケット売場、世界遺産の碑、石窟庵への入口があります。石窟庵まではこの入口から歩いてさらに1km。緩やかな下り坂を歩いていきます。またこの駐車場は尾根のようになっていて、東西の絶景が楽しめます。どちらにも双眼鏡が設置されているので、しばし景色を楽しんでみるのもいいかもしれません。
吐含山に作られた石のドーム
石窟庵は仏国寺と同様に、吐含(トハム)山の中腹に位置します。石窟庵という名の通り、切り出した石をドーム型に組んで作られた石窟寺院です。もともとは仏国寺に付随する庵として建てられました。中央に巨大な本尊を置き、周囲には仁王像、四天王像、菩薩像などを配置。石窟でありながらも通常の寺院が兼ね備える仏国土の条件を立派に満たしています。近くまで行くと木造の前室の後ろが古墳のように丸く盛り上がっているのが見えます。この下に巨大な本尊仏が鎮座しています。
石窟庵を作った人物
石窟庵の創建は751(景徳王10)年。当時の宰相、金大城(キムデソン)によって始められたといいます。この金大城という人物は、頭が大きい上、おでこが平たく、城のようだという理由で大城という名前が付けられました。金大城は石窟庵のみならず、仏国寺の拡張工事にも多大なる貢献をした人物としても有名です。また前世と現世の両親に仕えたという不思議な伝説も残されており、前世の親のために仏国寺をつくり、現世の親のために石窟庵を作ったと伝えられています。

石窟庵の中はこうなっている 
上から見ると石窟庵の手前側は四角い形をしており、奥は円形をしています。手前を前室と呼び、間の通路を扉道、奥が主室と呼ばれます。この主室に本尊が置かれ、本尊を取り囲む壁面、あるいは前室の壁面に十一面観世音菩薩像、十大弟子像、菩薩像、天部像、四天王像、仁王像、八部神衆像とたくさんの仏像彫刻が並べられています。現在は前室の前に、さらに木造の前室が建てられており、観覧はここからガラス越しにしかできません。
石窟庵の悲劇
石窟庵の歴史には悲しい事実が刻まれています。統一新羅時代に作られた石窟庵は高麗、朝鮮時代まではある程度創建時代の姿を保っていました。しかし日本の植民地時代に入ってからは、盗掘にあい、また日本の行った3度の復元工事の失敗により、仏像の位置や石窟庵の正確な構造などがすべてわからなくなってしまいました。もともとこの石窟庵は石を組み合わせて作ったにも関わらず、1000年以上持ちこたえられる耐久性と、湿気などを除去する自浄構造を持っていました。誤って組みたてた上に、また補修素材としてセメントを利用したことによって、換気が不可能となり、内部に湿気がたまって脆弱な姿となってしまいました。現在は保存のため後部を完全にセメントで塞ぎ、前室もガラスで閉じて人口的に換気をしています。石窟庵そのものはなんとか維持されていますが、この場所を訪れる人たちにとってはガラス越しの観覧を余儀なくされてしまいました。もちろん後方にある彫刻も見られません。新羅時代に作られた通りに復元すればとの声もありますが、設計図などが残されておらず不可能なのだそうです。現代の建築技術をもってしても再現できない、高度な技術を新羅人は持っていたことになります。
石窟庵のそばにある階段には、修復工事のときに交換したかつての建材が陳列されていました。1000年以上もの期間、石窟庵を支えてきたこれらの石たちは今何を思っているのでしょうか。新素材であるセメントに地位を奪われ、今はただ静かに横たわるだけ。どこに組み込んでよいのかもわからないとのことです。加えて石窟庵の保存状態も決してよいとはいえません。偉大なる国宝をガラス越しにしか見られないといういたましい現状。これら石たちの無言の叫びに耳を傾けなければなりません。以上、ナビでした。

記事登録日:2002-11-20

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上記の記事は取材時点の情報を元に作成しています。スポット(お店)の都合や現地事情により、現在とは記事の内容が異なる可能性がありますので、ご了承ください。

スポット登録日:2002-11-20

スポット更新日:2014-03-25

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