釜山の名物料理「機張コムチャンオ」

釜山にこんなにすごいコムチャンオ焼きがあった

アンニョンハセヨ、プサンナビです。韓国は日本と同じく各地方ごとに、独特の風俗・習慣・収穫物等によりいろいろな変わった料理を生み出しています。プサンナビでは、韓国の他の地方にはなく釜山だけにある独自の郷土料理特集をくむことになりました。今回は特集の第一回目として、釜山市の東側にある機張郡の名物、機張(キジャン)コムジャンオをお届けしようと思います。

機張郡とは?
釜山市の海雲台の横に位置し、釜山では一番東の端に位置する町です。この町は、5年前に釜山市に編入された、釜山で唯一の郡なんです。このキジャンは日本との関わりが深く「文禄・慶長の役」のときに加藤清正が倭城、西生浦城を築城した地として知られています。
コムジャンオ(ヌタウナギ)
コムジャンオは日本ではヌタウナギとして知られ、中国地方や九州沿岸で取れる全長20~60cmほどの魚です。夜行性のため目は退化しており、顎が無いため口は吸盤のような構造。体には粘膜を出す穴が無数にあり、さわるとドロドロとした粘液を放出します。網にかかると、粘膜が他の魚や網にしつこく絡むため、日本の漁師には嫌われているそうです。
キジャン沖は、海がきれいなので水深100m~150mの場所で、昔から沢山のコムジャンオが獲れていました。お金があって権威のある人は、目がなくてねばねばするコムジャンオは下等な魚として、食べなかったそうです。逆にお金のなかった庶民は、農業のかたわら近くにある藁を焼いてコムジャンオを食べたと言われてます。その当時庶民達が好んで食べた理由に、コムジャンオを食べれば「一日中お腹が空かなかった」また、食べ過ぎても「お腹にあたることはなかった」とか。つまり栄養価が高いということなのです。

コムジャンオの効能
コムジャンオは数ある魚の中でもビタミンAが一番沢山含まれていて、体の発達にとても重要な役割を果たすといわれています。成人病、高血圧、糖尿病、酒の中毒、精力増進にも効果があるそうです。

コムジャンオの多くは日本産
現在の「機張コムジャンオ」は乱獲のためにすっかり数が減り、最近ではもっぱら日本からの輸入が大部分を占めているそうです。それにしても、日本で獲れたヌタウナギが韓国で名物になっているなんて不思議な話ですね。

多様なコムジャンオ料理
藁焼コムジャンオ、松葉焼コムジャンオ、ヤンニョングイ(味付け焼き)、塩焼き、丸焼きなどあらゆる種類の食べ方ができます。

藁焼コムジャンオ
藁の中にコムジャンオを入れ、火をつけて焼きます。そうすると生きているコムジャンオは、丸くなったりしてもだえながら動き回ります。藁が燃え尽きる頃、コムジャンオも真っ黒に焼け出来上がり。手袋で真っ黒に焼けたコムジャンオの皮を抜くと白い身が出てきます。韓国で手袋をはめて食べる料理はこれだけだとか。皮を抜かれたコムジャンオの白い身を、塩入のごま油で食べるのが好きな人にはたまらないそうです。
松葉焼コムジャンオ
松葉焼コムジャンオは、藁で焼いた後にさらに松の葉で焼き、松の香りを付けたものです。ちょうど松の煙が薫煙のように染み付いて、コムジャンオが持つ独特の癖を感じさせません。
ヤンニョングイ(味付け焼き)
生きたまま皮を剥がれたコムジャンオとヤンニョンを絡めた物を、鍋に入れガスでグツグツ煮込みます。鍋の中で、皮を剥がれたコムジャンオがまだ動き回っています。コムジャンオがまだ動き回ることによりヤンニョンに絡みますますおいしくなるんだとか。
プサンの中心部からはるばる離れた機張コムチャンオ。釜山のどこでも食べられる魚だけど、藁焼きや松葉焼きは機張に来ないと食べられません。海雲台観光をする方は、ついでに機張までも足を伸ばしてみませんか?街とはちがう新たな発見があるかも…。
以上、海岸沿いのキジャンコムジャンオから、プサンナビがお送りしました。


上記の記事は取材時点の情報を元に作成しています。スポット(お店)の都合や現地事情により、現在とは記事の内容が異なる可能性がありますので、ご了承ください。

記事登録日:2002-08-12

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