K・F・Cの市場探検~巨済島編!

釜山の対岸30キロ、巨済島は地魚たちのパラダイス

アンニョンハセヨ、K・F・Cです。K・F・Cは韓国の市場を訪ねるのが大好きです。市場は大量の食材が集まる場所。そしてたくさんの人が集まる場所。市場はエネルギーとパワーの源であります。行けば思わず元気になってしまう韓国の市場。今回も魅力的な市場を訪ねてまいりました。目的地は釜山の南西に浮かぶ、巨済島(コジェド)という島です。また今回は市場のみならず、漁港に出かけて競りのようすも見学してきました。島独特の食文化を学ぶ旅。いざ巨済島の市場に突撃です。
巨済島とは
巨済島とは慶尚南道に属する韓国第2の島。釜山からはフェリーで結ばれているほか、統営(トンヨン)経由でバスに乗って行くこともできます。自然環境に恵まれた島で、海の金剛山と呼ばれる海金剛(ヘクムガン)や、ドラマ『キョウルヨンガ(冬のソナタ)』の撮影地としても知られる外島(ウェド)など、魅力的な観光スポットが満載です。また、かつて朝鮮戦争当時に捕虜収容所があった場所としても知られています。現在は三星造船、大宇造船という2大企業が島の産業を支えており、技術者や研究員をはじめ海外から優秀な人材を集めたインターナショナルな島という側面も持ち合わせています。
南浦洞からわずか45分で巨済島到着
釜山から巨済島に行くには南浦洞(ナンポドン)からの出発が便利です。沿岸旅客ターミナルからフェリーが出ており、わずか45分で巨済島まで行くことができます。沙上(ササン)にある西部市外バスターミナルからバスで行くこともできますが、その場合はだいぶ大回りをすることを覚悟しなければなりません。到着まで2時間半から3時間程度をみる必要があるので、ご注意ください。K・F・Cはフェリーを利用して行くことにしました。片道1万6000ウォン。フェリーの料金、時刻表などについてはコチラをご参照ください。
この季節の巨済島はイワシなのか?
釜山を出発し、軽くまどろんだかと思うと、もう長承浦(チャンスンポ)港に到着していました。やはりあっという間です。フェリーを降りると、ちょうど観光案内所があったので、さっそく巨済島の市場に関する情報収集をしてみました。
「すいませーん。巨済島の市場を見たいんですけど……」
「市場ですか……。隣の玉浦(オッポ)という町にも市場はありますが、古懸(コヒョン)まで行くとそれなりに大きな市場がありますよ」
「古懸の市場では何か特徴的なものが見られますか?」
「うーん。今の季節だとイワシですかねえ……」
「イワシ?」
「ええ、ちょうどイワシのシーズンなので、刺身専門店とかに行くとイワシの刺身が突き出しで出てくるんですよ。多分市場でもたくさん売っていると思います」
「ふむ、イワシですか……。」
巨済島でイワシが有名だという話はそれまで聞いたことがありませんでした。タコがたくさんとれておいしいという話は聞いていたのですが……。むむむ、イワシイワシ。青魚好きのK・F・Cとしては見逃すことができません。

巨済島の台所、古懸総合市場へ
観光案内所ですすめられた通り、古懸の総合市場にやってきました。この古懸一帯が巨済島でもっとも賑やかなエリアです。市場に行くと大きなアーケードを中心に、その周辺の路地までお店がたくさん出ていました。さすがに島だけあって目立っているのは海産物。豊富な魚介類が所狭しと並べられています。
まず目に付いたのがやはり大量のイワシ。観光案内所のお姉さんの言葉にウソはありませんでした。あちらこちら、至るところでイワシの下ごしらえをしています。下ごしらえといっても包丁は使いません。おばちゃんたちが熟練の手つきでびりびりと破くように、素手でさばいていきます。頭をむしって、背骨をとって。おろろ、おろろ、と見とれていると、あっという間に、イワシの手開き一丁上がりっ! ピカピカに光るイワシがなんともおいしそうです。
ところでこのイワシ。一体どうやって食べるのでしょう。おばちゃんに聞いてみたところ、サンチュ、セリ、タマネギなどと和えてチョコチュジャン(唐辛子酢みそ)で食べるとのことでした。ふむふむ。イワシの刺身といっても日本とはだいぶ違うのですね。醤油とおろし生姜というわけではないようでした。
さて、どんどん見ていきましょう。ザルの中にどさっと盛られていたのはエビ……ではありませんでした。よーく見るとシャコではありませんか。日本では寿司ダネとして人気のシャコですが、ここ巨済島でも生きたピチピチのやつが売られていました。これまた、茹でてチョコチュジャンで食べるそうです。
むむむ? 何やら真っ黒い炭のような物体を発見。今回巨済島の市場を練り歩いて、1番不気味なオーラを発していた物体がこいつです。みなさんいったい何だと思いますか? 炭にしては生き物っぽく、生き物にしてはグロテスクすぎる……。実はこの物体、アメフラシなんだそうです。食べるとウワサには聞いていたものの、実際にこうして市場で見てしまうと驚きは隠せません。なんでも海女さんがもぐってとってくるのだとか。うーん、ちょっと食べたいとは思いません。
また市場のあちこちで見かけたにもかかわらず、名前のわからない魚が1匹いました。聞いたところ「コランチ」という名前だそうなのですが、辞書を引いても日本語でなんという魚なのかわかりませんでした。分厚いクチビルに、寸胴な体型。なんとも面妖な魚なのですが、うーん、一体何者でしょう。
そのほかにも様々な魚介類を発見しました。マダイ、サバ、イシモチ、サワラ、タコ、イカ、そして貝類も豊富でした。特に印象的だったのは、少しこぶりな魚が多かったこと。いってみれば磯の小魚という感じでしょうか。市場を回っている間中、「兄ちゃん、買っていきな。これでヘムルタン(海鮮鍋)を作るとおいしいよ」とすすめられ続けました。磯の小魚をたっぷり入れたヘムルタン。うーん、確かにうまそうです。

菱浦港から巨済島の朝が始まる
古懸の市場をひと通り見終えて、その翌朝。菱浦(ヌンポ)という漁港を訪ねてみました。昨日フェリーで到着した長承浦港よりも、もう少し北にいったところにある港です。この菱浦港では、島の近海でとれた魚の水揚げが行われているとか。それはぜひとも見にいかねば、ということで眠い目をこすりつつ朝5時起きで行ってまいりました。
菱浦港の共同販売場へ行ってみると、やっています。やっています。ちょうど水揚げされたばかりの魚の競りが行われているところでした。倉庫のような建物の中に細長い水路のようなものが作られており、そこにカゴに入った魚を流していきます。この水路をつたって順番に仲買人さんの前へ運ばれるシステムになっており、仲買人さんたちは目の前に流れてきた魚を競っていくという方式になるようです。

ちなみに今日競りにかけられていた魚はこんな感じ。アンコウ、カワハギ、コウイカ、アナゴ、タコ、シタビラメ、サワラ……。おっとここにもいました。昨日市場で見かけた謎の魚、コランチです。
仲買人さんにインタビュー!
せっかくなのでコランチについて、仲買人さんに話を聞いてみました。コランチは別名チャンゲンイともいって、巨済島では一般的な魚なのだそうです。刺身にして食べるほか、ミヨックク(ワカメスープ)に入れてもおいしいとか。白身の淡白な味もさることながら、皮のシコシコ感が魅力だそうです。ふむ、ちょっと食べてみたくなりました。
また、仲買人さんからは他にも貴重な話をたくさん聞かせて頂きました。冬にとれるはずのアンコウが、水温の低下によって今日はたくさんあがっていたこと。カワハギはその形から別名ダイヤモンドとも呼ばれ、刺身にすると非常においしいということ。そのほか、巨済島の魚事情について、ずいぶん勉強させていただきました。

巨済島の魚が語る市場の真実
共同販売場の外では水揚げされたばかりの魚をよりわけている人たちがいました。これらの小魚は競りにかけられることはありません。仲買人さんの手を経ることなく、そのまま市場に向かう魚だそうです。
「ここであがった魚が巨済島の市場に並ぶんですか?」
「ちっちゃいやつだけな。大きいのはソウルとか日本に持っていくのさ」
島の近海でとれた魚でも、すべてが島の人の口に入るわけではありません。高値で売れる魚はやはり大都市に運ばれてしまうのです。そうしてみると昨日市場で見かけた魚に小魚が多かったのも納得がいきます。

謎の魚を食べてみました
さて、市場探検、漁港見学を終えて食事の時間です。どうも気になって仕方がない、コランチという魚を食べてみることにしました。長承浦港近くの食堂に入り、コランチのフェトッパプ(刺身どんぶり)を注文。謎の魚の味をみてみました。
結論からいくと、飛びあがるほどおいしい魚という訳ではなかったです。白身の上品な味わいなのですが、ヒラメやタイなどに比べるとやはり旨味が薄いのは否めません。また身そのものがザラザラした舌触りで、白身魚といっても、むしろアナゴなどに似たような印象を受けました。
それにしても一体このコランチという魚。いろいろ調べてみたのですが、その素性がさっぱり知れません。この魚が日本でいうどの魚にあたるのか。もしご存知の方がいらっしゃいましたら、ぜひK・F・Cまでご一報ください。

巨済島市場の探検を終えて
釜山を離れて島を訪ねる。そこにはチャガルチ市場のような派手さはないものの、地元に密着した市場の姿がありました。また今回の収獲は漁港での水揚げから、市場に並び、食堂で調理されるまでをひとつの流れで捉えることができたことです。その過程で、高値で売れる魚は大都市に行ってしまうという巨済島市場の側面を知ることができました。市場はその土地の食文化を映す鏡である。やはり学ぶところの多かった巨済島市場見学だったように思います。以上、K・F・Cがお届けしました。

K・F・Cからのお願い
市場で商品の写真を撮る場合は一声かけるのがマナーです。きちんと許可をもらってから撮るようにしましょう。また人の写真を撮る場合も同様です。突然カメラを向けられたら誰でもいい気持ちはしません。マナーを守って観光をしましょう。

上記の記事は取材時点の情報を元に作成しています。スポット(お店)の都合や現地事情により、現在とは記事の内容が異なる可能性がありますので、ご了承ください。

記事登録日:2003-07-11

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